どうも、難民の八雲です

      いやー、最近は特に暑いですね。皆さん夏バテとかは大丈夫ですか?

      そういや暑いといえば私、このバンドのメンバーを含む6人で

      今年の2月頃にタイへ旅行にいったんですよ。


      タイはいい所でしたよ、特にジャムって島が良かったなーーーー。

      一緒に行ったメンバーで朽犬ってのがいるんですけど

      そいつ、前にもこの島に来た事がありましてね


      そのとき酒場で働いていたお嬢さんと、いーーい感じになったらしくて

      その話をしてるうちに、だんだんと盛り上がってきましてね

      「じゃあその酒場に行こうや」ってことになったんですよ

 

      ただその酒場ってのが、海沿いにまっすぐ行った所にあるんですが

      都会とかでしたら、街頭やネオンやらで夜でも明るいじゃないですか

      だけどここは島ですからね、夜になると真っ暗で何にも見えないんですよ

     

      「おい、周りは暗いし足元も見えないから危ないんじゃないか?」

      って私がそう言ったんですよ


      そしたら朽犬が「大丈夫、大丈夫、その酒場はそんなに遠くないし

      それに海沿いを真っ直ぐ行けば着くから。」


      なんて言ってね目の前にあったカンテラを、ひょいと持ち上げると

      先にタッタッタッと行ってしまったんですよね

      よっぽど、そのお嬢さんに会いたかったんでしょうね

      嬉しそうな顔をしてましたよ


      周りが真っ暗のなか、朽犬の持ってるカンテラだけがファーーっと

      辺りを照らしてね、海の方からは波の音がザザーッ、ザザーッて聴こえてくるんですよ

      それで、ふぅっと空を見上げるとすごい星の数なんですよ


      あー綺麗だなぁーー、なんて思ってたら

      急に朽犬がこっちを向いて、「もう近いし、すぐそこだから先に行ってるよ。」

      そう言って、私にカンテラを渡して凄い勢いで走っていっちゃったんですよ


      「おい、あいつ暗闇のなか走っていったけど大丈夫か?」


      「本当だよな、まあでも一刻も早く会いたいんだろうな。」


      残った5人でそんな事を話しながら、砂浜をのんびりと

      ザックザック歩いていったんですよね


      しばらく歩いてるうちに私はふと、なんかおかしいなーーと思ったんですよ

      というのもですね、私たちは酒場に向かってるわけですよね


      それでしたら普通は明かりとかが見えてもいい頃なんですよ

      まさか、真っ暗な中でやっている酒場なんてありませんからね


      もしくは、人の「ワイワイガヤガヤ」なんていう声も聞こえるはずなんですが

      相変わらず聞こえてくるのは波のザザーッって音だけ、明かりも全く見えない。


      どうも変だなーーと思ってたら、前のほうに人影が見えたんですよ

      ん?誰だろうな?そう思ってよく見てみると、朽犬なんですよ

      ただ、どうも様子がおかしい


      「おい、どうした!?」


      そう叫んでみたんですが、返事がない

      何かあったのかと思って朽犬の方に駆け寄ってみたんですが

      

      朽犬は何をするでもなく、ただ自分の目の前にある何かを

      じーーーっと見つめているんですよ。


      こいつ、なにをこんなに見てるのかなと思って

      朽犬の見てるほうへ、持ってるカンテラをひょいと向けてみたんですよ

      

      すると、明かりに照らされて見えたものってのが

      壁が全部崩れて吹きっさらしになった廃墟だったんですよね

      

      柱が数本と屋根だけが残っていて

      見たのが夜ってのもあったんですが、結構雰囲気があるんですよ


      思わず私、「すげーな、こりゃ・・・」って思いましたよ

      

      みなさんも記憶に新しいとは思うんですが

      私たちが来るひとつきかふたつき前に、大きな地震と津波がタイで起きたんですよね

      たくさんの人が亡くなって、連日ニュースでもやってましたからね


      この島も被害に遭ったっていうから、恐らくその時に

      この家も流されてしまったんでしょうね


      それで、朽犬はその事にたいしてひどく胸を痛めていたから

      この家に住んでいた人たちにお祈りをしてるんだろうなあ

      そう思っていたら、タカシーノが


      「八雲さん、まずいですよ帰りましょう。」


      って言うんですよね

      ん?ずいぶんと妙な事を言うなと思いながら

      

      「え?まずいって、いったいどうしたの?

      せっかくここまできたんだしさ、どうせなら酒場に行って

      一杯飲んでから帰ろうよ。」


      って私、そう言ったんですよ

      

      すると、パクチーが


      「違うんですよ、違うんですよ八雲さん・・・・・。」


      「そこ・・・、それ・・・・その木のとこ・・・。」

 

      って青ざめた顔をしながら、ゆびを指した場所をみると

      木になにかが立てかけてあるんですよね


      ん?何だろな?そう思って見てみると何やら字が書いてある

      何が書いてあるんだろうと思って、顔をググーーーっと近づけてみると

      どうやら、それって看板らしいんですよね


      それで英語のつづりで「Big Hope」って書いてあるんですよ

      私それ見て「うそだぁーー!」って思いましたよ

      だってBig Hopeって私たちが、今まさに向かっていた

      酒場の名前なんですよ


      朽犬は流された家にお祈りをするために、ここに立ってたんじゃないんですよ

      思い出の酒場が津波で流されていたことにショックを受けて

      呆然としていたんですよ


      何となしに朽犬のほうを振り向くと、背中がさみしそうなんですよね

      肩なんかガクンと落として、だーれもいないBig Hopeを

      ただただ、じーーーっと見つめていましたよ・・・・・。


      これは、後から聞いた話なんですが

      やはり、Big Hopeは津波があったときに流されたそうなんです

      

      でも店員の人達は、みんな避難をしたらしく無事だったそうですよ

      それを朽犬に伝えたら彼、たいそう喜んでね


      嬉しそうにこう言ったんですよ


      「じゃあ、Big Hopeにいた2つの人影は彼女達じゃなかったんだ。」

   

      って、とっても嬉しそうにね・・・・・・・。