さてその肝心のプレイ内容だが、あまり生々しい描写をすると安達哲の名作「さくらの唄」の中村真理のようにゲロを吐く女性読者も出ることが懸念されるので、今回は船長と水夫のジェキンスという人物を仮に用意しました。


雰囲気だけでも楽しんでいただければと思います。では・・。


「・・船長・・お湯が入りました・・」

「おお・・そうか・・」

「船長・・良かったら俺、背中流しますよ・・」

「悪いなジェキンス・・」 

「船長・・いい背中してますよね」

「いや・・もう歳だよ・・若い頃はもっと締まってたもんさ。わはは!おっとジェキンス、ケツの穴まで洗ってくれるのはちょっとやり過ぎじゃないかね?」

「船長、前も洗いますよ・・こっち向いてください・・」

「・・そうか・・悪いなジェキンス・・」

「船長すごいや・・マボヤみたいですよカリ首が!」

「いや・・もう歳だよ・・若い頃はもっと・・!?ジェキーンスッ!!!急に咥えるな!何を考えているんだ!!」

「俺・・俺・・船長のことが・・!!お願いします!俺を愛して下さい!!」

「ジェキンス・・俺もお前のことをずっと息子のように思っていた、だがこの海をしばらく漂っていて気付いたよ、これは愛情ではなく恋心だということが・・ふふ・・皮肉なものさ・・七つの海を渡ってきた私の勇気をもってしても、お前にこの気持ちをずっと伝える事ができなかった・・」

「船長!ベットに行きましょう!!そして挿れてください!船長の凶暴なマボヤを俺のおちょぼ口にネジ込んで下さい!前戯なんて結構ですからッ!」

「おお・・ジェキンス・・・ジェキーンスッ!!!」


・・入店から約二時間、どうやら時間が来たらしい。

先ほどまでベッドで乳繰り合っていた女はマンコを拭いてワンピースを着ると、再びエレベーターまで腕を組んでエスコートしてくれた。

最後の最後まで恋人気分を盛り上げようとするプロ根性に俺は敬服した。


しかし二階のロビーにエレベーターが到着するが早いか、一人でとっとと降りて行っちまうのである。

おそらくは前の客といる所を次の客のために見せないようにしているのだろう・・なるほど正にプロですよ・・それも超一流の・・。


先程の女を物色したロビー。そこにはすでに国際親善試合を終えて人生最高のビールを飲む朽犬とパクチィの姿があった。


「タグッツォは?」


ソファに腰をかけてビールを一口もらう。まだ来ていない、とパクチィ。


「あいつ・・いい加減に出すモン出して戻って来いよ・・これじゃあカオサン帰ってもすぐに空港向かわなきゃまずい状況になるぞ?」


時計に目をやるともはや二十時を回っていた。あんなに来たがったポセイドンもやることやったらもう用は無し。皆いち早く心の故郷カオサンヘ帰りたい気持ちで一杯だった。


俺は再びビールを口にしてエレベーターに目をやった。


つい今しがたまで最高のセックスしていました!という満足感を漂わせながら続々と降りてくる白人、日本人、白人、日本人・・しかしまあ、その表情は様の東西を問わず穏やかなものだった。


その笠子地蔵のような微笑の行列に混じったタグッツォが一際イノセントな表情でエレベーターから出てきた。


放心が抜けきらぬ様相だったが回復を待つ時間もない。メンバーが全員そろったことを確認し、俺たちはすぐさま帰途についた。


ポセイドンの前に溜まっているタクシーを捕まえる。こうして運転手にカオサンと告げるのも今回はこれで最後かと考えると、なんだか急に切なくなってくる。

商売女に抜いてもらったすぐ後というのもあるのだろうか?なんだか最終日をものすごくムダに過ごしたような気がする。

たかが女と寝るためだけに、タイの文化を凝縮したようなカオサンの熱気を最後まで味わい尽くすことを諦めたのはもの凄い失策だったのではないか?

皆もさっきまであれだけポセイドンポセイドンと盛っていたものの、出してしまえば急に興味がなくなった様子だ。

やったら用済みへたすりゃ後悔、難民に共通した女性観が無言の中でも感じ取れた。


「ところでタグッツォさん、どうでしたか初めてのお風俗は?」

「いんやーアレね、プロ。プロってのはもう何もかも違うね。技術にゆでたまごと手塚治虫く

らいの差があるよ!」

「ほお、そんなにすげえ技を喰らったのか・・」

急に思い出し興奮したタグッツォがさらに勢い良くまくし立てた。


「いや、もうね、技とかそんな素人っぽい発想じゃないのよ?エンターテイメントっていうの?雰囲気作りがね・・」


タグッツォの話を統合するとこうだ。


お作法ひとつ知らず部屋に上がりこんだタグー。その緊張感は吉田美和抜きでワンマン

ライブをやらされるドリカムの如く、想像を絶するものだった。


そんな怯えきったタグッツォの気分を少しでも和らげようとそそくさとTシャツを脱がす女。

されるがままに素っ裸になるも、池上遼一の漫画のように自慢の一物をデロンとぶら下げての仁王立ちはどことなく心が安らいだとの事。


ここで予期せぬ出来事が起こった!


本来プレイ前には必ずウェイトレスが部屋に来て、自分と女のドリンクの注文をとるのだ。

そして飲み物が手元に届き、ウェイトレスが出て行ってからが本番という流れになるのだが

すでに女に服を脱がされて走れメロスの成れの果てのようなみずぼらしい格好のタグッツォ。

無論、何も知らずに入室してきたウェイトレスはそれを見てあわや声を上げそうになったとか。


わざわざ高い金を払ってまで海を越えてきた変態を前に、何とか刺激しないようにと照れながらも一生懸命注文をとるウェイトレス。

それを見ながらタグッツォのふぐりはウィル・オー・ウィスプのように煌煌と輝いたという。


湯を溜め終わった女はやぶから棒に、


「ねえ・・あたしのかわいいヒップホップ坊や・・あたしにちょっと黒い血を仕込んで頂戴よ」

「どうしようもねえ阿婆擦れだな・・いいかよく見てろ・・手をこうかざして・・YO!」

「YO!?」

「違うよ!こう!この角度でビシッ!YO!って感じ!そうそう!こいつは大したビッチだぜ!?」


素っ裸の二人がセックス前にやったことはヒップホップごっこ・・こうして今振り返ると彼の混乱した心が手に取るように伝わってくるようだ。


YO!と頭上から手を振りかぶるたびに、巨大なゆべし餅のようなタグッツォのチンポがビタンビタンと音を立てて太ももに当たる様をみて女は興奮したのか、ベットまで我慢できず一回戦はソファで始まったらしい。


「・・でなー。終わったあとにもアフターケアがすごくてね・・」

「アフターケア?なんだそりゃ?」

「芸達者なのよ、英語ができない分退屈させないようにってさ。」

「マンコから吹き矢を飛ばしたりするアレか?」

「そんなグロいやつじゃねえよ!何?例えばさ、こう、目をつむってって言うんだよ。」

思い出しながらにやけるタグー。一同に悪寒が走る。

「で、胸を突き出してきて、目をつむったまま乳首を舐めてみろって挑発してくるのよ?」

俺の背中に一際激しい悪寒が走った。まさか・・

「で、俺もこうバカみたいに舌を突き出してレロレロレロと花京院みたいにするだろ?で、何かが舌に当たった!と思ったら・・」

「膨らましたコンドームだってんだろ・・タグーよ・・?」


凍った。


そうとしか表現できない。


完全な沈黙の中の一秒がこれほど長く、重いものだとは。


言葉を失うメンバー。特にショックを受けたタグッツォの口は、言いかけていたコンドームの

「コ」の形のまま固まっている。


「おま・・なぜ・・見てたのか・・!?」

「いや・・」

「じゃあ!なぜ・・なぜ・・俺の・・」

「タグッツォ・・そいつは・・その女は・・去年俺が抱いた女だ・・。俺の時もそれはそれは芸達者だったさ・・フフフ・・」


突然の事実にしばらくショックを隠せない様子のタグッツォだったが、やがて心が落ち着いてくると、今年はこんな技をやられた、去年はあったかなどと情報開示を求められ、二人の話をまとめるとどうやらレパートリーは増えているようだった。


「グスン・・タカシーノ・・あの子はポセイドンの超魔術師だったんだね・・そういえば今日は木曜日だったし・・これが木曜スペシャルなんだね・・」

「そうさタグッツォ・・俺も一人っ子だから兄弟ができて嬉しいよ・・本当だぜ?」


今日ほど感情の起伏の激しい一日はなかった・・。嫉妬、羨望、焦燥、欺瞞・・それら全てがこの車内でデタントを迎え、驚くほど澄みやかな気持ちで俺たちは今カオサンに向かっていた。


最終日の夜。残してきた友の顔がいち早く見たくなった。